地番が必要な理由
まずは、地番が必要な理由について確認します。
土地や建物の登記情報を入手するため
対象物件の登記情報を取得するためには地番が必要となります。登記情報には、所有者氏名や住所、土地の地目や面積のほか、抵当権の有無など、物件に関する詳細な情報が記載されており、不動産取引に役立てられます。
取引に際し、物件の内容に相違がないか、また、抵当権や差し押さえの有無を確認することで、トラブルを未然に防ぎ、安全な取引につながります。
また、登記情報を取得することで、不動産所有者向けの営業活動に役立てられます。具体的には、ダイレクトメール(DM)送付用データを作成したり、土地や建物の面積を基にした富裕層リストを作成したり、建物の新築年月日を基にしたリフォームローンの提案にも活用できます。
土地の価格相場を調査するため
地番が分かれば、国土交通省が公開している「不動産情報ライブラリ」などの公的な情報を利用して、土地の価格相場を調べられます。不動産情報ライブラリでは、エリア単位(例:「〇丁目」など)で公示地価が公開されており、その地域の土地価格の目安を確認可能です。
不動産業者が営業準備を進める際にも、エリアごとの価格傾向を詳細に分析できます。分析して得た情報は、見込み客への提案資料や営業材料として利用可能です。
地番と番地の違い
地番と似た言葉に「番地」があります。どちらも土地や建物の場所を特定できる情報ですが、目的や用途が異なります。地番の調べ方を知る前に、両者の違いを明確にしておきましょう。
地番とは|登記情報を管理するための番号
地番は、土地を1筆(いっぴつ)ごとに特定するために割り振られた「土地の番号」です。ちなみに、「筆」は土地登記簿においては、1個の土地を指す単位です。地番は、法務局が管理しており、登記書類の請求や固定資産税関係の手続き、不動産取引の際に必要です。
地番は不動産登記や税務手続きで使用される一方、番地(住所)は日常生活で使われます。地番と番地が同じ場所のケースもあれば、地番がない場所もあります。地番はすべての土地に付与されるわけではなく、所有権が明らかで納税義務のない国有地や、登記がされていない未登記の土地には地番がありません。
下記は、さまざまなパターンの地番です。
【文筆・合筆した場合の地番】
土地を分割する「分筆」や複数の土地を統合する「合筆」によって、地番が新たに付与されます。
・文筆:1つの土地を複数の土地に分けた場合、それぞれに新しい地番が割り振られます。例えば、「新宿二丁目5番」を2つに分割した場合、「新宿二丁目5番1」と「新宿二丁目5番2」になります。
・合筆:複数の土地を1つにまとめる場合、まとめた土地には新たな地番が付与され、元の地番は失効します。例えば、「東池袋一丁目5番3」「東池袋一丁目5番4」が統合した場合、「東池袋一丁目5番3」に統一され、「東池袋一丁目5番4」は失効します。
【分譲マンションの地番】
分譲マンションの場合、建物全体の土地にひとつの地番が付与されますが、各戸(部屋)には個別の地番がありません。マンション購入者が所有するのは、土地の共有持分と、建物内の専有部分です。
【区画整理事業が実施された場合の地番】
区画整理事業によって土地の形状や位置が変更された場合、新しい地番が割り振られます。例えば、「港区芝公園407番地6」だった土地が、区画整理後に「港区芝公園900番地8」などと変更されます。地番の変更と同時に、町名が変わるケースも少なくありません。
番地とは|建物の住所を表示するための番号
番地は、建物の住所を特定し、郵便物の配達や人々が住所を理解しやすくするために作られた番号です。かつては、住所を特定するために「地番」が使われていました。しかし、市街地が発展・複雑化していくにつれ、下記のような問題が生じ、個人の住所を特定することが難しくなりました。
・地番の順序が土地の並びに従っていない場合が多かった。
・複数の建物が同じ地番を共有するケースがあった。
・町境が曖昧で住所を正確に特定しづらかった。
そこで、昭和37年に「住居表示に関する法律」が制定され、地番に基づいたものから、より明確でわかりやすい住居表示に切り替えられました。
【従来】
・町名+地番(例:芝公園一丁目1番地)
【法律制定後】
・町名+街区符号+住居番号(例:「千代田区一丁目3番2号」)
・道路名+住居番号(青山通り12番5号)
地番の調べ方
ここでは、地番の調べ方を3つ紹介します。
調べ方1|登記情報提供サービスで調べる
一般財団法人民事法務協会が提供する「登記情報提供サービス」を活用して地番を調べることが可能です。このサービスはインターネットを通じて地番を検索できる「地番検索サービス」を含んでおり、不動産に関連する登記情報の閲覧や印刷ができます。
地番検索サービスでは、住居表示を入力することで、地番検索用の住宅地図が表示されます。個人名が表示されていない分、市販の住宅地図よりは利用しにくいものの、おおよその地番を検索可能です。
地番を調べるだけであれば、登録を必要としない「一時利用」でも無料でサービスを利用できます。ただし、実際に登記簿の内容を閲覧したり、登記情報を取得したりする場合は有料になります。
出典:一般財団法人 民事法務協会「登記情報」
調べ方2|ブルーマップで調べる
ブルーマップは、大手地図会社ゼンリンが発行する地図です。一般の住宅地図とは異なり、地番や公図界、用途地域、容積率、建ぺい率、公図番号など、土地や建物に関連する多くの情報が表示されています。
ひとつの建物が複数の土地区画にまたがる場合や、公図番号を確認したい場合にも便利です。ただし、ブルーマップに掲載されている地番はおおよその位置を示すものであり、正確な地番の確認には法務局が保有する公図が必要です。
ブルーマップは、1冊あたり2万円から8万円と高価ですが、法務局や国立国会図書館、公立図書館、市区町村役場などで無料閲覧が可能です。また、ブルーマップをインターネットで閲覧できるサービスもあります。
なお、ブルーマップは全国で発行されているわけではなく、特定地域では提供されていない場合がある点に注意しましょう。
出典:株式会社ゼンリン「ブルーマップ」
調べ方3|法務局に問い合わせて調べる
法務局に問い合わせて地番を調べる方法は、迅速かつ手軽に利用できる手段のひとつです。不動産の所在地を管轄する法務局に電話すれば、住居表示から地番を教えてもらうことが可能です。
例えば、「○○市○○町○番○号の地番を照会したいのですが」などと問い合わせれば、担当者が地図を確認して地番を教えてくれます。特に、古いマンションでは部屋番号と家屋番号が一致しないケースがあるため、法務局に問い合わせれば正確な情報を得られる点が便利です。
ただし、この方法で得られる情報は、法務局が保有する地図の範囲に限られます。土地や建物の所有者情報など、登記内容に関する詳細な情報は得られない点に注意しましょう。
こういった地番の問い合わせは法務局にとっては日常的なものであり、理由や名前を求められることもなく、通話料以外に費用がかかることもありません。
地域によっては、法務局の公式サイトに地番や家屋番号の照会、証明書発行に関する専用の問い合わせ番号が記載されている場合があります。そのため、事前に公式サイトを確認し、適切な窓口に連絡しましょう。
まとめ
地番の調べ方は、「登記情報提供サービス」「ブルーマップ」「法務局への問い合わせ」の3つがあげられます。それぞれメリット・デメリットがあるため、費用面や目的に応じてどの方法で地番を調べるか検討してみてください。
また、登記情報を取得したいけれど、地番を調べるのはやはり大変という方は、ホームズへ依頼してみてはいかがでしょうか。住所しかわからなくても、地番の調査から登記情報の取得まで、ワンストップで実現可能です。