「融資決定」に関わる調査と決断を即日可能に。

「TOKYOに、つくそう。」をグループの存在意義(パーパス)とするきらぼし銀行様。東京・神奈川を中心とする東京圏に多くの店舗を有し、地域に根差したサービスを提供されています。現在、銀行業を支える柱のひとつである「融資」業務の効率化を目指して、ホームズの各種システムを導入いただいています。今回は、導入に関する背景や運用後の様子を、きらぼし銀行正子様に伺いました。


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2020年から始まった業務効率化への挑戦

――ホームズがリリースする各種システムの導入経緯を教えてください。
お付き合いのスタートは2020年です。融資などの判断材料となる登記情報の効率的な収集・管理を目的に「オンライン登記情報システム」を導入したことがきっかけでした。登記情報の効率的な管理機能により業務の効率化を実現し、さらに住所だけで地番を自動特定する機能や、人的ミスを未然に防ぐ「契約書作成システム」を活用した書類作成など、人の手でなくとも問題ない部分をシステム化することで、作業時間や行員の業務負担を大幅に減らすことができています。

1週間かかっていた不動産評価の課題

――それから2年後に「不動産自動評価システム」を追加されましたね?
日々、各支店には企業様や個人のお客様から融資関連のご相談をお寄せいただいています。その際にお預かりした不動産情報は、社内の担保評価専門部門で調査・評価を行うのですが、調査に要する時間や評価後の活用について課題がありました。

――どのような課題だったのでしょうか。
まず時間については、お客様からご相談を受けてから結果をお返しするまでに1週間ほどお待ちいただくこともありました。これは営業店から本部に担保評価を依頼するプロセスとなっており、依頼のためには評価に必要な情報収集をしたり、評価依頼書を作成する必要があります。また、集中部署での評価対象物件の現地調査や法令調査もあり、どうしても時間がかかってしまうのです。

――お客様の中には、その期間を少し長く感じる方もいらっしゃいそうですね。
そうですね。お客様だけでなく、私たち銀行側もその間はご提案などができないため、少しやきもきする部分があります。最終的に前向きなご返事ができれば良いのですが、評価内容次第では、そうしたご提案の機会すら得られないケースもあります。次につながる割合でいうと、調査・評価した全体の50%程度でしょうか。

――調査・評価はしたものの、融資の判断材料となりにくかったということでしょうか?
蓋を開けてみたら他行と競合していたり、結果はさておき「とりあえず評価に回した」といったものも少なからずありますね。

5分で完了する即日評価システムの導入効果

――そうした課題は「不動産自動評価システム」で解消されましたか?
はい。劇的に変わったのはスピードです。専門部門に依頼することなく各支店で調査・評価ができますし、システムに必要情報を入力すれば約5分程度で結果が出るため、ご相談をいただいたその日に結果をお知らせすることも可能です。次の提案につながる割合も全体の60%に向上しています。

――営業現場の評判はいかがでしょうか?
好評を得ています。もともと調査・評価自体は、不動産知識や専門性、そして経験に基づく判断が要求される領域です。ましてや私たちの本業は銀行業ですから、誰でもできるものではないことを我々自身が誰よりも理解しています。そうした部分をシステム化することで、行員としての習熟度や知識に関係なく精度の高い評価を手にできる環境は、特に若い行員ほどそのメリットを実感し、上手に仕事に活かしているようです。

行員の習熟度に左右されない安定した評価精度

――システムの使い勝手はいかがでしょうか?
順番通りに必要事項を入力する簡単なオペレーションなので、行員の年代を問わず活用できています。画面に表示される地図上で欲しい不動産情報をチェックするといったように、ユーザーインターフェイスの工夫も、多数の銀行さんのシステム開発に携わっていらっしゃるホームズさんならではの上手さですね。銀行業全体に加え、日々の銀行員の細かな業務まで知り尽くしていらっしゃる知見が活かされていると感じます。

――「不動産自動評価システム」の活用メリットは他にもありますか?
不動産の評価方法には「積算評価」と「収益還元評価」の2つがあります。土地や建物の【現状】を把握するのが「積算評価」だとすれば、「収益還元評価」は、アパートなどの物件や敷地が持つ【今後期待できる価値】を理論的に導くことです。「収益還元評価」は複雑で、評価対象となるエリアの人気や地価、沿線情報といったものに加え、土地の形状や道路からの距離といったあらゆる情報を基に算出されます。従来はそうした情報をさまざまな情報リソースから収集しながら評価していましたが、稼働中のシステムに「収益」に関わる機能を追加したことで、現在ではシステムが多くの情報を収集してくれるため非常に助かっています。

――業務に合わせてチューニングをされたのですね。
はい。システムは必要な業務や課題に応じて、その都度柔軟に変化していくことが重要です。その点において、ホームズさんは柔軟に対応してくださいます。まずはスモールスタートで始めて、適宜使いやすくバージョンアップさせてきました。結果だけをシンプルに知りたい行員もいれば、詳細に評価をしたい行員もいます。行員のニーズに合わせて、今後もシステムは改善していきたいですね。

Salesforce連携で実現する攻めの営業戦略

――まずは無理なく始め、事業の歩調に合わせて進化させるクラウド型サービスの強みがしっかりと活かされていますね。今後はどのような展開をお考えでしょうか?
現在進めているのはSalesforceとの連携です。一般的に融資という概念は、まずはお客様からのご要望があった上でやりとりが始まる「受け」の要素を持ちますが、今後はSalesforceを使った情報収集を提案に活かして、こちらからお客様にアプローチする手段を広げたいと考えています。

――なぜSalesforceだったのでしょうか?
現在稼働中のシステムとの相性が良かったこと。それに加え、お客様に関するさまざまな情報収集と一元管理がしやすいところに期待を寄せています。例えば、これまで表札でしかお名前を存じ上げなかったお客様が、実は同じ町内で別の物件や土地をお持ちだったという事実を可視化することもできます。そうした情報を「不動産自動評価システム」で事前に評価することで、お客様それぞれに見合うご提案を携えた効率的なアプローチも可能になると思います。

お客様のことを知れば知るほど提案が広がり、信頼が深まるのが銀行業の本質です。すでにお付き合いがあるお客様とはさらに強い絆でつながり、まだお付き合いのないお客様とは新しい関係性構築のきっかけとなる情報を、ホームズさんのシステムは導いてくれます。
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共に成長するビジネスパートナーとしての信頼関係

――ホームズについて評価をお願いします。
システム開発の実力やサポートについては大満足です。システム導入の際には、社内向けの運用マニュアル作りもサポートいただきましたし、どうすれば行員が使ってくれるかについてもアイデアをいただきました。なによりもホームズさんは相談しやすいのが良かったです。現在、銀行としてクリアしたい課題にとどまらず、今後やりたいことや目標についても耳を傾けてくれました。
フットワークの軽さも心強いです。こちらの要望に対して、「このままだと難しいが、別のやり方なら可能です」と、違う道筋を示してくれます。しかも実際のシステムに落とし込んだ形で、実装後の業務イメージを見せてくれるので理解も早かったです。システム導入後も調整や相談で数多くのキャッチボールをさせてもらいましたが、どんな球もしっかりと受け止めてくれることに感謝しています。

共にシステムをつくり、きらぼし銀行の成長を描くパートナー。決してお世辞ではなく、そんな頼れる存在だと思っています。