展示会での出会いが導入のきっかけに
――どのような経緯で「登記情報システム」の利用を開始されたのでしょうか?
融資業務の改善策や業務効率化を企画していくうえで、日々、システムやアプリなどのIT関連の情報にはアンテナを張っています。そんな折、FIT展(ニッキン主催)でホームズさんと出会ったのですが、ホームズさんのシステムの活用によって業務の負担軽減と同時に、融資業務そのものの合理化が図れることに確信を得たことが導入のきっかけです。
――どの点で確信を得たのでしょうか?
登記情報の自動取得などは、多数の会社さんがサービスを提供されていらっしゃいますが、ホームズさんの場合は、そこからさらに情報を使いやすくする工夫を施し、銀行業務にダイレクトに活かせるシステムへと練り上げられていたことに好感を持ちました。
――具体的にはどの点でしょうか?
ホームズさんのシステムは、登記情報の分析・解析機能が秀でていること。そして、別の業務にも連携させやすい柔軟性や拡張性があることです。
課題① 登記情報の取得と管理
――システム導入前の業務課題について教えてください。
融資業務を円滑に進めるためには、登記情報の精緻な事前調査と管理が必要不可欠です。それに加え、契約書をはじめとする多種多様な書類作成もありますので、登記情報を扱う業務は比較的負荷のかかる業務の一つでした。
また、これは当行に限らず、複数拠点を持つ銀行であれば同じ悩みだと思いますが、登記情報の二重取得という問題がありました。例えば、ある支店に寄せられた融資のご相談の判断材料として登記情報を取得したが、過去に近隣の支店で取得した登記情報だったなどの事案が考えられました。
――結果的に二度手間になるということでしょうか?
はい。融資の案件が発生した場合は、上席の承認を得た上で司法書士に依頼し、必要な情報を集めていくのですが、過去に取得したかどうかなど、書面である登記簿謄本の管理は困難でした。また、司法書士から情報を受け取るまでの時間は、業務が進まず止まってしまう状況でした。
――時間のロスは時として大きな損失にもつながりそうですね。
そうですね。お客様への迅速な対応を目指しているものの、その機会を逃していたこともあったと思います。また、時間のロスもさることながら、司法書士への依頼費用も積み上げていくと、それなりのコストになっていました。
課題② 複数枚の登記情報を読み解く困難さ
――その他、登記情報の課題についておしえてください。
登記情報の中には、極めて複雑なものが存在します。例えば、所有者が頻繁に変わった物件などがそうです。登記情報から抹消された方もいれば、新たに所有者として名を連ねる方もいらっしゃいます。それらを登記情報の資料として集めると数十枚の書類におよぶケースもしばしばです。誰がいつ所有していたのか?最終的な権利はどこにあるのか?などを確認していきます。
――非常に時間がかかる作業ですね。
情報を突き合わせながら一つ一つ確認する作業は、経験豊富な行員でも手を焼く作業です。シンプルな登記情報であっても数分程度、複雑なものだと30分以上かかるというものもあります。登記情報は秘匿性の高い情報ですから、正確に読み取ることが大事です。どうしてもマンパワーがかかるのはしょうがないと理解はしていました。
30分から5秒へ、劇的な時間短縮を実現
――システム導入で、登記情報の収集や読み解く負担は軽減されたのでしょうか?
はい。明確に良い結果が出てきています。まずは導入した「オンライン登記情報システム」の機能の一つ「ホームズMAP」で住居表示から地番を自動で取得できるようになったことが大きいです。複雑な事案は従来通り司法書士に依頼し、そこまでの必要性がないものであれば各支店で取得する運用の流れができあがり、二重取得防止・全店情報共有・司法書士手数料不要による削減効果により年間約1,500万円のコスト削減を実現しました。
――業務時間の短縮や合理化も実現していますか?
はい。データベース化された登記情報を使いやすくするオプション機能として「スッキリ登記簿」と「契約書作成システム」があり、この2点の活用によって業務効率は上がりました。
特許技術「スッキリ登記簿」機能
――それぞれの特徴を教えていただけますか。
ホームズさんが特許を取られている「スッキリ登記簿」は、時として数十枚にも及ぶ登記情報をAIが正確に判読して必要な情報だけを抽出する機能です。簡単に言うと、抹消事項などを省き銀行業務に必要な部分だけを可視化するものです。1ページ程度にまとめられた情報は見やすいことは言うまでもなく、古い住所や人名に外字が使われている場合は、自動で類似文字に変換されていることもポイントです。
従来は手書きで資料を作っていましたが、書き損じや潰れた文字の判別に頭を悩ます時間がなくなりました。それに付随したメリットとしては、ペーパーレス化や機密事項の漏洩抑止、契約書の点検業務にも効果を発揮しています。
――先ほど、登記情報の解読に30分とありましたが、どれくらいの時間短縮になりましたか?
約5秒です。驚きですよね。経験が浅い行員からは、「登記情報の専門知識に自信がなくても、システムが必要な情報を抽出・整理してくれるので、安心して業務を進められるようになった」といった声も聞かれます。
AIによる契約書自動作成でミスも解消
――30分から5秒とは、かなり合理化が進みましたね。
はい。合理化という面では「契約書作成システム」機能についても満足しています。以前は手書きによるミスも起こりやすく、複数の書類を作るため時間がかかっていましたが、現在は取得した登記情報を基に契約書、委任状、登記原因証明情報などの必要書類をAIが自動で作成してくれる環境になりました。各支店からは、ミスが許されない契約書作成のプレッシャーが軽くなったとの声も寄せられていますし、契約書の物件表示を点検する業務も効率化が進みました。
なくてはならないシステムへ
――システムや各機能について社内の評価はどうでしょうか?
当行の業務においてなくてはならないシステムになってきています。チェックボックスで必要事項を選択するといった直感的な操作性や、その時の条件やお客様に合わせて契約書の表示情報を変えられる自由度など、ユーザビリティに富む配慮を私以上に実感しているのは、各支店で日々業務に取り組む行員だと思います。
気軽に相談できる拡張性が魅力
――ホームズのシステムを活用する今後の動きについて教えてください。
「契約書作成システム」をはじめとする様々な機能の中には、ホームズさんに「こんなことができると助かる」といった相談事から形になっていったものもあります。この気軽に相談ができる雰囲気やシステムを業務に合わせて使いやすくできる拡張性こそがホームズさんの魅力です。
あとは、とてもフットワークが軽いことです。業務上のルールが変わり、稼働中のシステムの表示を一部変えたいといった依頼についても「できる限り今日中に反映させましょう」というようなお言葉をいただくことが多く、頼もしい限りです。今後も登録済みの登記情報の変更をアラートで通知する機能など、もっと使いやすいシステムにしていきたいと思っていますし、ホームズさんなら銀行業務に特化した知識やノウハウ、そして開発力で、そうしたわがままにもしっかりと応えてくださると思います。