兵庫ひまわり信用組合は2025年4月に第7次中期経営計画を始動し、DX推進を主要課題に掲げました。目指すのは、与信審査プロセスや担保台帳との連携を進め、モニタリング業務へ展開する「評価 → 審査 → 期中管理」の一気通貫。今回は融資実務を担う、融資部部長の金様(写真右)と融資部次長の李様(写真左)のお二人に、不動産自動評価システム導入の経緯と現場で起きた変化を伺いました。
増加する案件に、対応できる人員が足りない
不動産担保評価業務につきまとう構造的な課題
―不動産自動評価システム導入前の課題を教えてください。
融資の案件数は年々拡大しているにもかかわらず、対応する職員はほぼ横ばいの状態が続いていました。業務ボリュームは確実に増えていて、特に融資に関する資料作成は、通常業務の中でも大きな負担になっていました。融資の相談が重なった際には、一日の勤務時間の約半分を資料作成に費やすこともあり、負荷が最も高かった時期には、土曜日を使って帳尻合わせをしなければならない事態に陥ったこともあります。
―かなりの時間を費やされていらっしゃったのですね。
資料や稟議書の作成にあたっては、路線価、地図、登記情報など、複数の情報を複数のサイトから収集し、それらを印刷して突き合わせる作業が欠かせません。時間的な拘束が大きいだけでなく、情報の精査には一定の専門知識も要求されます。経験の浅い職員にとっては、どの情報をどのように整理すればよいのかを判断すること自体が難しいものでした。
―確かに、複数の条件を見比べながらの判断や考察は、誰でもできるわけではありませんね。
その結果、経験豊富な職員への依存度が高まり、ベテランが若手の育成に十分な時間を割けない点も課題でした。また、資料の書式や体裁が店舗や職員ごとに異なっていた点も問題でした。内容は同じでも表現や構成に違いがあるため、確認する側の負担が増え、「ある人が見れば理解できるが、別の人では差し戻しが発生する」といった非効率なやりとりも少なからずありました。
―属人化が進み、共通のノウハウが蓄積されにくい状況だったのですね。
その通りです。業務量の増加に対し、従来のやり方のままでは限界が見え始めており、業務を標準化し、現場全体の生産性を底上げする仕組みの導入が急がれました。
課題解決に直結する機能が、導入判断を早めた
―導入のきっかけを教えてください。
当組合の常勤理事がFIT展(金融国際情報技術展)に訪れた際に、不動産自動評価システムの存在を知り、関心を持ったことが導入検討の出発点でした。「ベテランと若手の業務差をどう埋めるか」「誰が担当しても一定水準の評価業務を行える環境を整えられないか」「不動産担保評価に必要な資料を一つのシステムですべて出力したい」。こうした複数の課題解決につながると判断し、導入が決定しました。最初に不動産自動評価システムの説明を受けたのが2024年11月で、翌年2月にはトライアル運用をスタートさせました。
―即決ですね。新しいシステムを導入することへの迷いはなかったでしょうか。
はい。機能や目的が明確で、私たちが抱えていた課題の解決に直結すると実感できたため、決断は早かったですね。
初めて触っても戸惑わない、直感的な操作性
――トライアル運用の段階から、システムの利点は感じられましたか。
触ってみて最初に実感したのは、インターフェースの分かりやすさと操作性の良さでした。必要な項目を選択していくだけで、自動的に必要な情報が収集され、書類が作成されます。普段の融資業務で使っている用語がそのまま画面上に表示されるため、操作マニュアルを常に参照しなくても、迷ったときに確認する程度で使える点は、現場にとって大きな安心材料でした。一人が理解すれば、その職員が周囲の職員に教えられるほどのシンプルな設計で、直感的に使いこなせる点も良いと感じました。
――ストレスを感じさせない操作性も不動産自動評価システムのセールスポイントです。
キーボードでの文字入力が最低限で済む点も、使ってみて分かった利点です。手作業で必要事項を記入していた頃は、記載漏れや誤表記、悪筆で文字が判別できないといったアナログ特有の問題も頻発していましたが、そうしたミスがなくなるだけでも効率性は大きく向上していると感じます。
判断までの時間短縮が、業務プロセスに変化をもたらした
―2025年12月より本格的な運用がスタートしましたが、現時点でどのような変化がありましたか。
最も大きな変化は評価業務にかかる時間と心理的負担が大幅に軽減できていることです。現場からは、「慣れていない職員でも5分程度で資料が作成できるようになった」「以前は1時間以上かかっていた作業が半分以下になった」といった声が上がっています。作業時間の短縮は、単に効率が上がったというだけでなく、業務の進め方そのものを変えました。特に大きかったのは、業務スピードの改善が意思決定の速さに直結した点です。
―意思決定の速さとは、どのようなことでしょうか。
導入前は、午後に案件が持ち込まれると評価に必要な資料の準備が間に合わず、検討は翌日以降に持ち越されることが少なくありませんでした。導入後は、その日のうちに必要な資料を揃え、翌朝のミーティングに間に合う形で精査できるようになり、お客様への初期回答も早くなっています。
―お客様のご期待に、より早くお応えできる体制が整いつつあるのですね。
はい。対応スピードに加えて、内部の業務効率も向上しています。書式や計算ロジックが統一されたことで、差し戻しや再計算の手間も大幅に減少しました。誰が作成しても一定品質の資料が出てくるため、確認作業は要点のチェックに集中できます。これにより、評価の品質が平準化され、担当者ごとの差も目立たなくなりました。
多様なデータを起点に、新たな業務展開の可能性を探っていく
―不動産自動評価システムの導入は、働き方の改善にもつながりそうでしょうか。
資料作成の時間がある程度予測でき、業務の見通しが立てやすくなったことで、残業時間は大幅に減少しています。また、時間に余裕が生まれたことで、お客様対応や案件検討といった本来注力すべき業務に職員がより多くの時間を使えるようになりました。その結果1,000万円以下の小口案件への対応件数も実際に増加しており、業務の幅は着実に広がっています。
―今後、どのような形で不動産自動評価システムを活用されたいとお考えですか。
登記情報がデータ化され、Excelにコピーして他の書類作成に活用できる点についても、現場では大きな可能性を感じています。資料を作って終わりにするのではなく、将来的にはお客様の物件に関する明細をデータとして把握し、何か新たな提案に活かすといった事業の広がりも模索したいです。
―ホームズの対応力やフォローについてはいかがでしたか。
導入にあたっては、ホームズさんのサポート体制についても安心感がありました。特に、これまで内部で運用してきた独自の「不動産担保調査書」の書式を踏襲した形で、自動作成できるように不動産自動評価システムをカスタマイズしてもらえた点は大きかったですね。新しい仕組みではあるものの、従来の業務フローや内部事情を十分に踏まえたシステム構成だったため、スムーズに日常業務に溶け込ませることができたと感じています。
―導入を検討している金融機関へのメッセージをお願いします。
今回の導入で私たちが実感したのは、金融業界における業務改善とは、最先端技術を導入することが決して正解ではなく、現場の実態と課題としっかりと向き合い、誰もが使えて、自然に業務が回っていく仕組みづくりが重要だという点です。ホームズさんは柔軟な対応力とシステム構築のノウハウを持っているだけでなく、運用面まで伴走してくれる心強い存在です。小さな課題でも快く対応してくれますから、まずは気軽に相談されてみてはいかがでしょうか。
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