物件管理をエクセルで行う3つのステップ
ここでは、物件管理をエクセルで行う手順を3つのステップに分けて解説します。
ステップ1|物件管理の項目を設定する
まずはエクセルの一番上の行に、物件管理に必要な項目を設定しましょう。下記は、物件管理によく使われる項目の例です。
・物件名:管理対象の物件ごとの名称
・所在地:物件の住居表示や最寄駅など
・築年月/竣工年数:老朽化の目安を判断するために必要
・空室状況:空室か満室か、もしくは何戸空いているかなど
・オーナー名:物件の所有者情報
・入居者情報:入居者がいる場合、氏名や連絡先などを記載
・設備点検の実施状況:定期点検が行われているかどうか
・改修工事の実施状況:過去の修繕記録や今後の予定など
上記の項目は、物件の状態を把握する上で重要です。取り扱う物件の種類や規模によって必要な情報は異なるため、必要に応じてカスタマイズしてください。例えば、商業ビルであれば「テナント情報」や「契約期間」なども加えると便利です。
ステップ2|関数や条件付き書式を設定する
物件管理をエクセルで効率良く行うためには、関数や条件付き書式の活用が欠かせません。管理する物件の数が少ないうちは手入力でも対応できますが、戸数が増えるほど入力ミスや確認漏れが発生しやすくなります。こうしたヒューマンエラーを防ぐには、エクセルの自動化機能を活用するのが効果的です。
例えば、「空室の部屋数を自動で合計する」「点検日から一定期間が経過したらアラートを表示する」「入力必須項目が未記入なら赤く塗りつぶす」といった設定を加えることで、管理精度が格段に上がります。また、入力をリスト形式で選択できるようにすることで、表記ゆれやタイプミスも防げます。
下記は、物件管理に役立つ代表的な関数や条件付き書式の例です。
【物件管理に活用できる関数の例】
・SUM関数:指定範囲の数値をすべて合計する
・IF関数:条件によって異なる結果を表示する
・DATEDIF関数:2つの日付の差を年・月・日単位で取得する
・VLOOKUP関数:別の表から該当データを参照して取り込む
【条件付き書式の例】
・日付が過去一定期間を超えている場合に塗りつぶす
・入力漏れ(空欄セル)を赤く表示する
ステップ3|業務進捗に合わせて運用する
エクセルの初期設定が完了した後は、実際の業務に合わせて運用を開始します。運用におけるポイントは、情報をこまめに入力・更新し常に最新の状態に保つことです。
例えば、点検が完了したら「点検実施日」を入力し、空室が埋まったら「満室」に変更するなど、現場の状況をエクセルに即時反映させることが大切です。即時反映させないと、エクセルの内容と現実の状況が乖離してしまい、誤った情報に基づいた判断や確認漏れが発生しかねません。
また、運用を続ける中で「この項目もあったほうが良い」「こう表示されたほうが見やすい」といった改善点が出てくるでしょう。その都度、行や列を追加したり、条件付き書式を見直したりして、管理表をアップデートしましょう。
物件管理をエクセルで行うメリット
不動産管理においては、専用のソフトウェアやクラウドサービスなどさまざまな選択肢がありますが、導入コストや使い勝手を考えると、エクセルは優れた選択肢のひとつといえるでしょう。ここでは、物件管理をエクセルで行うことによるメリットを4つ紹介します。
コストパフォーマンスが高い
専用の不動産管理ソフトを導入しようとすると、初期費用や月額利用料がかかる場合が多く、規模の小さな不動産会社にとっては負担になることが少なくありません。その点、エクセルは多くのPCに標準でインストールされており、追加費用をかけずにすぐに使い始められます。
シンプルな機能で操作もしやすい
エクセルは、多くの人が学生時代や社会人経験のなかで一度は触れたことがあるソフトです。したがって、導入しても「新しい操作を覚えるのが大変」といったハードルが比較的低く、職場全体にスムーズに浸透しやすいのが利点です。
画面構成や操作方法もシンプルで直感的なため、特別なマニュアルや研修を受けなくても、基本的な入力や編集はすぐに習得できます。管理者や事務スタッフが入れ替わっても、エクセルなら引き継ぎもスムーズで、使い方を覚える時間が少なくて済みます。
汎用性に優れている
エクセルは単なる表計算ソフトにとどまらず、さまざまなシステムやツールとの連携が可能です。例えば、他の会計ソフトやお客さま情報管理システムと連携し、データを一元管理できます。また、Googleスプレッドシートなどクラウドベースのツールと連携すれば、複数人で同時に編集・閲覧することも可能です。
さらに、エクセルのブック内でシート同士をリンクさせれば、月別・年別の物件管理情報をまとめたり、収支表や修繕履歴と物件データをひとつにまとめて管理したりなど、複合的な管理も実現できます。
カスタマイズ性が高い
エクセルは、自社の業務に合わせてフォーマットを一から設計できるだけでなく、必要に応じて後から項目を追加したり、入力規則を変更したりと、柔軟に対応できる点が魅力です。
また、インターネット上には物件管理や不動産業務向けに公開されているエクセルのテンプレートも数多く存在します。これらをベースに、自社のスタイルに合わせて少しアレンジするだけで、実用的な管理表が完成します。
物件管理をエクセルで行うデメリット
エクセルは物件管理において多くのメリットがありますが、万能というわけではありません。実際に運用してみると、さまざまな課題が浮かび上がってくることがあります。ここでは、物件管理をエクセルで行うデメリットについて解説します。
同時操作や共有に不向き
エクセルは基本的にローカルファイルとして使用されることを前提に設計されているため、複数人での同時操作には不向きです。共有ネットワークやクラウドストレージに保存したとしても、一人が編集中の場合は他のユーザーがファイルを編集できず、業務がストップしてしまうケースがあります。
そのため、「誰が最新版をもっているのか」「更新された内容は正しいのか」といった混乱が発生するケースも少なくありません。また、誤って旧バージョンのファイルに上書き保存してしまうリスクもあり、複数人で作業する場合には注意が必要です。
一から作成するのは手間がかかる
エクセルを活用して物件管理表を一から作成するのは、膨大な手間がかかります。物件管理に必要な項目を洗い出し、それに応じた列や行を作成し、関数や条件付き書式を設定するには一定の知識と時間が必要です。
また、ただの表計算では見やすさに欠けるため、フォントサイズやセルの色分け、余白など細かなデザイン調整も求められます。さらに、日々の業務で発生する情報の追加・削除・修正はすべて手動になることから、入力ミスや更新忘れといったヒューマンエラーが起こりやすくなります。
ファイルが重い
エクセルは情報量が増えるにつれて、ファイル自体の容量が大きくなっていきます。物件数が増えるごとに管理対象のデータも膨大になり、物件ごとの情報、点検履歴、入居状況などを細かく記録していくと、ファイルが重くなる場合があります。
結果として、ファイルを開くのに時間がかかる、スクロールや入力の反応が遅くなる、保存時に動作しなくなるといった問題が頻発します。また、大容量ファイルはバックアップや共有の際にも時間がかかり、業務の妨げになる可能性があります。
まとめ
エクセルを活用した物件管理は、初期費用を抑えつつ、自社の運用スタイルに合わせて柔軟にカスタマイズできる点が大きな魅力です。特に少人数や小規模物件の管理には十分対応でき、関数や条件付き書式を活用することで、作業の効率化やミスの防止にもつながります。
また、エクセルでの物件管理をさらにスムーズに行いたい場合、他の業務の効率化もあわせて検討してみましょう。特に管理物件数が多い場合は、「登記情報取得」の業務負担が大きくなりがちです。このような登記情報取得業務を速やかに完了したい方はホームズの「登記情報取得代行・データベース化サービス」 をご検討ください。
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